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Channel: 桃象の観劇書付
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8/13夜 長谷川劇団 「釣り忍」③

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このバージョンの特徴

 

➃ 魚定

定さんは 棒手振り(ほてふり)の魚屋

桶に魚を入れて 天秤棒で担いで 街中を売り歩く魚屋を

しています

一般的な大衆演劇の「釣忍」では 

仕事もせずに遊び人で いわゆる床屋の亭主なんです

 

「女房に食べさせてもらっている 遊び人の定次郎」と

いう設定だと
 

① おはんにとって 一時的に別れはつらいが
  結果的には 「そんな男と 別れる方が正解」と

  いう論理が成り立つ
  したがって 夫婦別れの場面  
  観客は バンザイ三唱してもいいのである 

② 親族会議の場面 
   定次郎が どんな理屈で どんなカッコいいことを 

     言おうが
 「仕事をせず 自由に遊んでいたい男」 の 
  グウタラな保身のためという ことになる

 

⑤ 店に戻るときの着物

定さんが 越前屋へ戻るときの着物は

「紋付き羽織袴」では ありません。

ふたりで お祭りに行く予定で 

おはんが縫った お揃いの着物
それを 着て 定次郎は 越前屋へ 帰ります。
 
定次郎は  おはんには  
赤羽橋にある魚屋のセガレだと説明してありました。
したがって 定次郎には  紋付羽織袴の必要が無いし
おはんは 家紋も 知らないのでございます
 

で、佐太郎が 越前屋で 紋付袴を用意して

あるのですが


それは 無視して 親族会議の場へは 

「おはんが縫った」その お揃いの着物
を着て 出てきます
 
この 定次郎の 行動 
このことが 定次郎の価値観 考え方を 示しています。

 

桃象は この着物に 

おはんの 女房としての気持ちがたっぷり詰まってると

感じます。

 

というのは 定さんの行先は 

呉服太物問屋として チョー有名な お店

そんな 着物のプロ中のプロに行くのに

自ら縫った着物を 定次郎に着せます

素晴らしい出来という自負があるからこそできます

 

芸者をしていたおはん 一緒に暮らしたころには

裁縫ができなかったものの この二年で 

しっかり 女房として 縫物も 

ひと針ひと針 丁寧に縫った んだろうなと思われます

 

 

⑤ 釣忍

 

釣忍は 花を咲かせません

2人で所帯を持ったときに 初めて買ってもらった釣忍

二年後 それが 枯れてしまいます

でも  釣忍の植物は渇水に強く 復活して芽が出ます

の 釣忍の推移と おはんの恋心が リンクするんです

このお芝居 

 

単に 「釣忍を育てている夫婦のものがたり」 ではなく

 

「まるで 釣忍のような (アクシデントにも強い) 

夫婦の恋ものがたり」なんです

 

釣忍が「枯れて 芽が出る」推移をするからこその表現です

 


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