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Channel: 桃象の観劇書付
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【用語解説】 二代目お蝶 

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劇団都の お芝居  赤尾の林蔵において 

林象親分が 小政と お蝶さんが死んだという話を しているところへ
お蝶さんが 帰ってくる場面があります

 

林象親分が 次郎長一家へやってきて 
お蝶さんが 死んだという話を 聞いたと 豚松に言うと
姐さんなら いますよ  と
いや 保下田の久六との 抗争のときに 亡くなったと聞いたが・・

という 話をしているところへ お蝶さんが帰ってくる
不思議がる 林蔵親分・・
それも そのはず 林蔵親分の知っている 

お蝶さんとは別人だったのである


この場面   本来 笑いが起きる場面ではないのに

客席から 笑いが起きることがあるんです

 

次郎長一家を わかっていないと 

なかなか 理解できない場面で ございます


 
遊侠の道に身を投じ三河や遠州で剣術と

賽の目の旅を続けながら次郎長は駿府に舞い戻っていた。

弘化2年(1845年)次郎長26才の時、

甲州『津 向(紬=つむぎ)の文吉』親分が
駿州『和田島の田右衛門』親分に言い掛かりをつけ

清水に迫っていた。

和田島親分には世話になっていた次郎長は

庵原川の北岸 に陣取る 

津向一家に単身乗り込みことの真相を文吉に

伝えると一戦交えること無くみごと喧嘩仲裁をはたした。

侠客の世界で喧嘩の仲裁を成立させることができ るのは

貫禄のある親分が常識であった。

いっぱしの侠客が立派に仲裁をはたしたことで

次郎長はいちやく侠名人の仲間入りを果たし、

その侠名を聞き各地から

次 郎長を慕って子分が集まり始めた。

和田島と津向の対立を謀ったのは

和田島太左衛門の子分の三馬政だと

見破っていた次郎長は

江尻に戻り捕えようとするが逃げられ、
 

おまけに町奉行所の役人に

庵 原川の出入りを密告される。
これによって和田島一家は匹散され

次郎長は箱根路を抜けて
武州高萩の萬次郎をたよった。

半年ばかり萬次郎のもとで厄介になって いると
次郎長も知らぬ内に侠名は日増しに高まっていた。
 

以前、剣術を学んだ吉良の武一の誘いで

再び三河の地を転々としながらも
翌年の弘化4年 (1847)、

清水に戻った次郎長は28歳の時、
江尻問屋場の大熊の妹お蝶を娶り、
清水の妙慶寺の門前に所帯を持って

ついに一家を構えた。

安政5年(1858)

おてふの兄大熊が甲州の祐天一家との出入りで
関東取締役人に追われる身になると、
その手は妹お蝶にもおよび、次郎長はお蝶、
そし て大政らの子分らを連れて

三河そして尾張へと逃げのびた。

逃走の道中病に倒れた女房お蝶と

次郎長一行は名古屋の
巾下の長兵衛親分をたよる。

そのころ名古屋には、以前次郎長が世話をした
保下太の久六が勢力を拡大 しつつあった。

しかし久六は、恩ある次郎長が

身近で苦しい旅生活をしているのを
知りながら見舞いに参じないどころか、
 

「次郎長は巷で横行している押し込み 強盗の張本人」と
町奉行所に偽の密告をし窮地に追い込んだ。
この件がもとで次郎長は恩人長兵衛を失い、
さらに お蝶を 病が悪化して亡くなってしまった。



この お蝶さんが 亡くなったことについて 
林蔵が話していたので ございます。

では お芝居に登場した お蝶とは・・



お蝶亡きあと次郎長の良き理解者となったのが「投げ節お仲」、

三味線小脇に旅をする 粋も無粋もわきまえた

渡世の経験豊かな女博徒である。

 

次郎長に想いをよせていたが 

亡くなったお蝶に義理立てをして 
惚れているのにアタックをしない、

次郎長の方もお仲への想いを封印して

お蝶への義理を貫こうとしている、 
それが周囲に見え見えなのに・・・・。


ある時、ついにお仲は清水と決別の決心をする。

いつまでも私がここにいたのでは 次郎長親分を苦しめることになる、

親分も私も お蝶さんを裏切るようなことなんか出来ゃしない、

私さえいなければ・・・

溢れる涙を拭いながら旅支度をしているとき、
呼び止めたのは大政だった。


「お 仲さんも親分も 似たもの同志の意地っ張りだ、
意地と義理とは違います、清水一家には姉(あね)さんが必要だ、
このままじゃ あの世へ行った姉さんにまで
気を揉ませてしまうじゃありませんか、
亡くなった姉さんは 他の女が親分に惚れたからって
ぐずぐずいうような そんなケチなお人じゃねぇことは 
お二人と も とおに分かっているくせに・・・」


大政は次郎長にも同じように説得していたのである。


その後「俺んちへ来て 二代目のお蝶を名乗っちゃくれめぇか・・・」

やっとプロポース゛にこぎ着ける。


相思相愛なのに お互いが惚れたとは絶対言わない、

従って 祝言(結婚)ではなく 
襲名披露という形で再婚したのである。

 


劇団都のお芝居「赤尾の林蔵」に登場するのは
この 投げ節お仲さん  
二代目お蝶さんなのでございます


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