方便(ほうべん)には、次の3つの意味がある。
- 仏教において、衆生を教え導く巧みな手段や、真実の教法に誘い入れるために仮に設けた教えを意味する仏教用語。
- 目的のために利用する便宜の手段。手立て。 「嘘も方便」などの用法がある。
- 都合のよいさま。多くは「御方便」という形で用いられる
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.wikipedia には 上のように説明されています。
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本来は 「人を真実の教えに導くため、仮にとる便宜的な手段」を
言う仏教用語で、それが転じて 別の意味が派生していった形。
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あるところに大金持ちがいました。
ずいぶん年をとっていましたが、財産は限りなくあり、
使用人もたくさんいて、全部で百名ぐらいの人と暮らしていました。
主人が住んでいる邸宅はとても大きく立派でしたが、
門は一つしかなく、とても古くて、いまにも壊れそうな状態でした。
ある時、この邸宅が火事になり、火の回りが早く、あっという間に火に包まれてしまいました。
主人は自分の子どもたちを助けようと捜しました。
すると、子供たちは火事に気付かないのか、
無邪気に邸宅の中で遊んでいます。
この邸宅から外に出るように声をかけますが、
子どもたちは火事の経験がないため火の恐ろしさを知らないのか、
言うことを聞きません。
そこで主人は以前から子供たちが欲しがっていた、おもちゃを思い出します。
羊が引く車、鹿が引く車、牛が引く車です。
主人は子どもたちに『おまえたちが欲しがっていた車が
門の外に並んでいるぞ!早く外に出てこい!』と叫びます。
それを聞いた子どもたちが喜び勇んで外に出てくると、
主人は三つの車ではなく、別に用意した大きな白い牛が引く豪華な車(大白牛車)を子どもたちに与えました。
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仏教の世界で このようなお話があり
これには深い意味があるらしい。
登場人物の主人が仏で、子どもがわれわれ一般人。
邸宅の中(三界)に居る子どもは火事が間近にせまっていても、
目の前の遊びに夢中で(煩悩に覆われて)そのことに気付きません。
また、主人である父(仏)の言葉(仏法)に耳を傾けることをしません。
そこで、主人は子どもに三車(声聞乗・縁覚乗・菩薩乗の三乗の教え)を用意して外につれ出し助け、大きな白い牛が引く豪華な車(一乗の教え)を与えた。
まず、三乗の教えで仮に外に連れ出し
そこから更に、これら三乗の教えを捨てて
一乗の教えに導こうとする仏の働き(方便)を譬え話に織り込んで、
説いているんだそうです
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この世界観が 難しい。
「子供たちを救うため 「嘘」をついて 子供たちを外へ出した」
そういう嘘は 許される
というように 理解してしまいますわね
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お芝居「大工の1日」では 争いごとを避けるための「方便」が
登場します。