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Channel: 桃象の観劇書付
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【用語解説】お蝶(おてふ)  

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清水次郎長には生涯三人の女房がいます。

三人とも名前は「おてふ」。

「おてふ」と書いて「おちょう」と読みます。

「お蝶」とも書くこともあります。

 

■  初代お蝶

 

初代お蝶は 次郎長の貧しく荒んだ青春時代を
共に過ごした恋女房。

 

日頃から貧しい一家を切り盛りしながら 
子分たちにも優しい姉(あね)さんと慕われていたが、
あるとき次郎長一家が喧嘩で人を殺してしまったため 
ほとぼりが冷めるまで旅にでる生活に同行したとき 
ついに過労が原因で病に倒れてしまいました。

 

お蝶の病は悪くなるばかり。病を治すために二十両の金が

必要と知った勝五郎は、石松を連れて、

昔、次郎長とお蝶が世話をした

保下田の久六という貸元のところへ行くことに…。

 

昔の恩を忘れ、次郎長を罵り倒した久六。

それを聞いて怒る石松を勝五郎がなだめていると、

ちょうど深見の貸元・鯱鉾長兵衛が通りかかり、

次郎長らの面倒を見てくれることに。

 

長兵衛のところで手厚い看病を受けたが、

安政二年の年の瀬にお蝶は死んだ。

三千両を超える香典と五十人余りの親分衆が集まった

 

■ 二代目 お蝶

 

お蝶亡きあと次郎長の良き理解者となったのが「投げ節お仲」、

三味線小脇に旅をする 粋も無粋もわきまえた

渡世の経験豊かな女博徒。

 

次郎長に想いをよせていたが 亡くなったお蝶に義理立てをして 
惚れているのにアタックをしない、

次郎長の方もお仲への想いを封印して

お蝶への義理を貫こうとしている、 
それが周囲に見え見えなのに・・・・。


ある時、ついにお仲は清水と決別の決心をする。

いつまでも私がここにいたのでは 

次郎長親分を苦しめることになる、

親分も私も お蝶さんを裏切るようなことなんか出来ゃしない、

私さえいなければ・・・

溢れる涙を拭いながら旅支度をしているとき、
呼び止めたのは大政だった。


「お 仲さんも親分も 似たもの同志の意地っ張りだ、
意地と義理とは違います、清水一家には姉(あね)さんが必要だ、
このままじゃ あの世へ行った姉さんにまで 
気を揉ませてしまうじゃありませんか、
亡くなった姉さんは 他の女が親分に惚れたからって
ぐずぐずいうような そんなケチなお人じゃねぇことは 
お二人と も とおに分かっているくせに・・・」


大政は次郎長にも同じように説得していたのである。


その後「俺んちへ来て 二代目のお蝶を名乗っちゃくれめぇか・・・」

やっとプロポース゛にこぎ着ける。


相思相愛なのに お互いが惚れたとは絶対言わない、

従って 祝言(結婚)ではなく 
襲名披露という形で再婚したのである。


これなら二人とも亡きお蝶さんへの義理が立つ・・・
大政苦肉のアイディアであった。

 

そして、二代目お蝶さんまでが

後に白昼の喧嘩に巻き込まれ

新番組隊士に斬られてしまうんです。

 

■ 三代目 お蝶

 

明治になって再婚した三代目お蝶さんに関しては 
写真や文献など検証できる事実が沢山残されています。 

三代目は武家の娘で本名は「けん」、

献身的に清水一家を切り盛りしながら

次郎長晩年の事業を共にする。  

次郎長没後は その存在を後世に残そうと

次郎長の日常生活を記録した
「侠客寡婦物語」の執筆にも携わった。



清水の次郎長 のこと  石松のことを よく知ろうとすると
まずこの お蝶さんたちのことを まず 知っておくべきでしょう


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