■ 13日(火)
特別出演
劇団十六夜 座長 市川叶太郎
七代目 市川千太郎
「釣り忍」
枯れても再び芽が出る特徴をもつ釣忍
そんな釣忍のような
おはんと定次郎の恋ものがたり
■
劇団都の場合 「釣り忍」と 外題発表されていても
定次郎が 魚屋をやっている
「原作に近い 都オリジナルバージョン」と
定次郎が 無職の
「一般大衆演劇バージョン」の
二通りの芝居があります。
◇
明日のお芝居は、
十六夜から ゲストを迎えての芝居であること、
また 藤乃かな退団以降は オリジナルバージョンを
一度も やっていないこと 等を勘案すると
定次郎が 無職の
「一般大衆演劇バージョン」
だろうと思われます。
◇
しかしながら、、
他劇団の 「釣り忍」 とは 異なる点が
大きくは 二か所あります。
その 二か所にも 注目して 観ていただきたい。
そこを わかってほしいと 桃象は 熱望します。
① 枯れる釣忍
シノブ というのは 岩場などにも生え、
乾燥にも強く、また 冬の寒い時には 凍ってしまわない
植物で そういう 悪環境にも耐えることから
忍(しのぶ)という 名前が付いているんやそうで
乾燥に強く 葉っぱが全て無くなっても
根茎に 水分を蓄えていて 復活しやすい植物
その シノブの根を コケ玉に
巻いて釣るように仕立てたものが 釣忍で
江戸時代後半から 軒先にそれを吊るして
涼を楽しむことが 行われたそうでございます。
お芝居中 そんな 植物釣忍 が
定次郎と その女房 おはんの 恋心を
暗示してるんですよ
表面上の ストーリーだけ 観ていると
この暗示 の 部分に気づかない人もいます
◇
定次郎 と おはん 二人で暮らすようになった時に
植物の釣忍を 買ったわけです。
このとき おはんの恋ごころ は ラブラブですから 〇
植物釣忍はというと 買ったところですから イキイキしてます 〇
二年が経過して・・ (お芝居はここからですね)
植物 釣忍 枯れてしまっているんです ✖
佐太郎さんが やってきて・・・
おはんは 定次郎と 別れることにします
おはんの恋心は-・・・ ✖
でも 釣忍には 新しい芽が出てきました 〇
定次郎は ふたたび おはんと暮らすことになります 〇
このように おはんの恋ごころと 植物釣忍が
おなじような推移をします。
◇
ところが 他劇団の多くが やっている
花が咲く設定でのお芝居の場合
買った時 葉っぱ ○
二年後 葉っぱ ○
最後 花が咲く ◎
と おはんの恋心 一度は消えたようになる状態と
リンクしなくなるわけです。
桃象は お芝居紹介の時に
「枯れても再び芽が出る特徴をもつ釣忍
そんな釣忍のような
おはんと定次郎の恋ものがたり} と 書いています。
劇団都の場合 他劇団の多くが行っている
「釣忍を育てている おはんと定次郎の恋ものがたり」
とは すこーーし ちがうんですね。
② 越前屋
劇団都の場合、大衆演劇バージョンで行う場合であっても
定次郎さんの実家は 原作同様
「日本橋通り三丁目にある 越前屋」で ございます。
これは 日本橋に 実在した 「呉服太物問屋 越後屋」
後の 「三越」 を 示した名前となっています。
そのことによって 定次郎は 百貨店規模の店の御曹司
であることを 表現しているわけですね。
他劇団では どういうわけだか 「白金屋」としているところが
多いようですが、
原作では 本家が 白金町に住む仁兵衛さんであり
その「白金」なんでしょうかねぇ
「越前屋」という店の名前にも
深い 意味が込められているのでございます。