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Channel: 桃象の観劇書付
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8/13夜 長谷川劇団 「釣り忍」⑤

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定さんが 風呂屋へ行こうとしたとき 

飲み仲間の為さんが やってきて 飲みに誘いに来て

ひと騒動 あるわけですが

 

この為さん、原作では「版木職人の為吉」として

登場する人物です

 

■ 版木職人

 

木版画というのは、江戸時代 アートではありませんでした。

芝居のお知らせのチラシだったり、役者のブロマイドだったり、

伊勢参りに行った人たちのお土産だったり、

旅の道中の景色だったり。木版画の中身には用途があったのです。

ところが明治に入って印刷機械が導入されたことで、

用途のある印刷物は木版画で表現されなくなりました。

 

版画の制作システムは、大まかに言って、

版元が企画・販売し、

絵師が下絵を描き、

彫師が線用や色用の木版を彫り、

摺師が摺る、という工程。

 

しかし、そこにかかわっている人たちは、

和紙の材料となる楮(こうぞ)から繊維を取る人、

紙を漉く職人、

ドーサという液を塗って印刷に向く紙にする職人、

山桜の木から版木を作る職人、

技術に合せて分業する彫師、

彫刻刀職人、

摺師、

絵の具を作る人、

バレンと呼ばれる摺る道具を作る職人、……

 

数えきれないほどの職人の力が合わさったもの。

 

 

版木職人というのは 

「山桜の木から版木を作る職人」

なのでございます。

 

 

江戸時代 瓦版 チラシなどの版画もあったことから

彫師もそうですが 版木職人も かなりの数が 

江戸の町にいたんやそうです

 

数日後 再び 佐太郎が やってきた。

おはんは 越前屋の定次郎について詳しく話を聞いてみると 

人違いなんかじゃないと 疑念を抱く。

定次郎が帰ってくると 

そこには おはん だけではなくて 佐太郎の姿もあった

佐太郎が おはんや長屋の人に 定次郎のことを聞くと
勘当の理由が 放蕩だったが 今では
夏冬なく よく働くし 酒も付き合い程度しか飲まない
ならば 勘当は解けるはずだ。

越前屋へ 返ってきてほしいと言う

 

画像は 

都京太郎が 佐太郎  定次郎を都京弥が演じた時の画像  


佐太郎の気持ちとしては 

佐太郎が 越前屋の暖簾別けをし 別の店を構え、

定次郎に 今の店のあるじになってもらいたい。
母親おみちも 定次郎が 家を出てから毎日泣いている・・と

定次郎は 棒手振りという仕事が好きだし、

いまさら 越前屋の仕事をする気にもなれない。

おはんは 突然聞かされた定次郎の素性に 驚くも
母親が なげいているのだから 

定次郎に 越前屋へ帰った方がいいと すすめる

おはんは 門前町の 元芸姑 そんな女を 

母親おみちや 親族連中は
越前屋へいれるわけがないから 

俺が越前屋へ帰るということは
夫婦別れになるんだぞ と 定次郎

それならそれでいいわ。

芸姑あがりの 私のような女を 2年ものあいだ
可愛がってくれたんだもの。私は 身をひいてもいいことよ

越前屋のため、母親おみちのため、

そして 何より定次郎の幸せを願い身をひくと言い出すおはん

佐太郎は 定次郎が帰ってきても 

夫婦別れにならないようになんとかする からと約束をする。

その二人の説得に 定次郎は ついには折れた。

定次郎「帰るとすると いつなんだ?」
佐太郎「明日の夕刻に親戚一同が集まるようになってます。
    その時に 少し遅れて帰ってきてください

「明日」という急な話に驚く おはん。

定次郎 「お膳立てが できてるんじゃねえか」・・・
佐太郎は 明日待っているからと 帰っていった。
 


 

定さんに 店に戻ってほしいと 説得で

佐太郎は 刃物で 腹を斬ると言い出す説得を 

する劇団もありますが

 

藤乃かなバージョン 原作もそうですが

店のため 母親のため  

佐太郎と おはんが 定次郎を説得する形です

 

 

気丈にふるまう おはん。
お酒でも飲みましょう  用意してくるわ。

そのあいだに 玄関に出て なにげなく
軒先の 釣り忍に 目をやる 定次郎

「枯れてなかったんだ 芽が出てやがる」

このタイミングで 定次郎は釣忍に芽が出て

枯れてなかったことに気がついてます

 

画像は 定次郎を 都京弥 おはんを 藤乃かな



夫婦生活をはじめたころには 縫物ができなかった
おはんだが この2年の間に すっかり おかみさんとなって
定次郎と おはんのお揃いの着物を仕立ててあった

帰るときには それを着ていきなさいと だしてくる おはん。

いい気なもんだ。
俺が帰ったら 本当に 夫婦わかれになるんだぞ
と 念をおす 定次郎。

それでもいい。やっぱり 帰ったほうがいいという おはん。
 

気丈にふるまっていた おはんの目から 滝のような涙。
悲しくて泣いているんじゃないのよ。

2年も やさしくされて うれしいから泣いているの・・・

 

画像は 藤乃かなが 定次郎を演じた時のもの



    別れてあげます 身をひいて ♪
    あなたお願い   戻ってあげて♪

    わかっていました はじめから♪
    何かわけが ありそな あなたのことを♪
    悲しいくらいに いとしくて♪
    夢を見ていた 恋おんな♪
    だって  だって 2年もやさしくされて
    こんな セリフは 今 つらすぎる♪   

 

 

愛京花  はじめての定次郎だったそうですが

やっぱり すごいですよねぇ

 

切ない 複雑な気持ちを キチンと表現してくれますし

セリフも完璧 アドリブも 要所要所で入れて

藤乃かな演じる おはんの気持ちに しっかり寄り添い

 

いやほんと 化け物の域です


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