落語に 「頭山(あたまやま)」
上方落語では 「さくらんぼ」という 噺があります。
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気短な男が、
サクランボを種ごと食べてしまったことから、
種が男の頭から芽を出して大きな桜の木になる。
近所の人たちは、大喜びで男の頭に上って、
その頭を「頭山」と名づけて花見で大騒ぎ。
男は、頭の上がうるさくて、
苛立ちのあまり桜の木を引き抜いてしまい、
頭に大穴が開いた。
ところが、この穴に雨水がたまって
大きな池になり、近所の人たちが
船で魚釣りを始めだす始末。
釣り針をまぶたや鼻の穴に引っ掛けられた男は、
怒り心頭に発し、
自分で自分の頭の穴に身を投げて死んでしまう。
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というような話で、、
このあらすじを 冷静に 読むとわかるように
おかしいんです
頭のてっぺんに できた池に
自分で 飛び込んで 身投げ。
こんなことは 絶対に ありえないんです。
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しかし
桂枝雀さんが 「さくらんぼ」を やったとき
身投げする この主人公の男の
せつなさにさ 涙する客もいたと言います
こんな ありえないことを
その場では 感じさせない 話芸
客席をグイグイひきつける 語り口に
まどわされるのも 「落語」の 楽しみです
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大衆演劇の芝居の中でも
観客を ぐいぐいひきつける芝居というのもあります
あとで 「うわっ だまされた」
というのも 心地よいものなんですが
「みごとに まどわしてくれる 芝居」
も 桃象 大好物です