第五場 茶屋宗清の奥座敷
都万太夫座での 弥生狂言 「大経師昔暦」が 大盛況
そんな中 霧波千寿が 演じる おさんは お梶に似ている
という 噂話が ちらほらとでてきた。
お梶の友人 みつが 訪ねてきて
坂田藤十郎が お梶に 言い寄ったという噂まであると
教えてくれた。
そんなことは ないと答える お梶だったが
その噂は 夫である 宗山清兵衛 にまで
伝わっている始末
それ以来 清兵衛 との距離が離れている。
第六場 都万太夫座の楽屋
都万太夫座 大経師昔暦は 連日大入り続き
そんな中 楽屋内でも お梶と藤十郎の噂が・・・
千寿までもが 噂を気にしている始末。
霧波千寿が ことの真相を 藤十郎に聞くと
噂話は 狂言の工夫の為の 偽りの恋であり
そんなことでは 死ぬわけにはいかない
星の数ほど女はいるのに そんな危険なことを
するわけがないと 真っ向に否定する
その話を 楽屋見舞いを届けにきた
お梶が聞いていた
そして 藤十郎に あの告白は 偽りだったのか
問いただすも
藤十郎は 「今は人にはあらず」と お梶を置いて
出て行った。
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この 六場での 藤十郎さん
緊張していたのかな、いくつかのゼリフ
飛んでしまいました^^;
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ここで 今一度 おさらいしておきますと
お芝居中にも 不義密通は 天下の大罪。
と出てきます。
現代では 奥方が 不倫をした場合
同義的に問題になったり、夫婦仲が悪くなることは
あっても、そのことが 犯罪では ございません。
が
江戸時代は れっきとした犯罪でございます。
見つかった場合 どんな刑が
処せられるのかと言いますと
両者死罪でございます。
そして
夫は現場を発見すれば 間男と妻を殺害しても
罪には問われない
「間男成敗」などと出てくるのが それですな
なんと
未遂の場合であっても間男を殺害しても構わない
それほど 江戸時代は厳しかったわけでございます。
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仮に 万太夫座の 楽屋で、、
藤十郎 が お梶 との 関係を認めて
それを 万一 誰かに 聞かれたとしたら
そして それが 広まってしまったら
藤十郎 の 役者人生は 即刻 アウト
それどころか 自害の道へ
なのです。
茶屋の離れという 場所とは ワケが違う
すでに そうかもしれないという
噂が広まってからの
沢山の 関係者が行きかう 楽屋
そういう場所で 藤十郎は
お梶 との 関係を けっして 認めるわけには
いかないのですね。