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Channel: 桃象の観劇書付
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劇団都 9月19日 「釣り忍」⑬

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そんな所へ 越前屋から 母親おみちと 佐太郎が出てきました。

 

嫁姑の初対面。

 

おみちからしたら 

越前屋の店主を捨ててまで 一緒に暮らしたいと

定次郎が 望んだ 元芸者の女

 

定次郎を勘当した今 その女に 定次郎を託すしかない。

 

そんな おみちが 初めて おはんにあいました。

 

 

はじめまして おはんと申します。

 

そう挨拶されて 少し 間が開きます

客は おみちが  どんなこと言い出すのだろう 

と ハラハラさせる その「間」。

 

そのあと

 

「初めておめにかかります。定次郎の母でございます

おはんさん。その定次郎当家から勘当された身、もううちには何の係わり合いも無い男。

これから先はいついつまでも、幸せにお暮らしなさいよ」

 

「お母様のほうこそ。お祈りいたします。」

 

「こちらこそ 

 定次郎、 勘当したといってもあたし達は親子だ。

 会いたくなったらいつでも

 帰って来るんだよ」

 

「その言葉だけありがたくもらっとくよ」

 

 

「このお金は、手切れ金なんかじゃないよ。

 二人の門出の祝い金だ。受け取ってくれ」

 

どうしようと 定次郎のほうを見る おはん

 

「もらえるものはもらっとけ」 

 

受け取る おはん

 

 

じゃあ 行こうか

 

「おはん」

 

「ん? 」

 

「やっと・・・

 

 俺たち この釣忍 みてえだな」

 

 

俺達の生活も 一度 終わるとおもったけど

また 新しい芽をだした釣忍のように

また 新しい気持ちで はじめような

 

 

「釣忍」という お話

このように 登場する 店名 地名 人名にも 

それぞれ深い意味が こめられてあります。

 

表面上 てきとーに見ていると 

聞き逃して 見逃してしまいそうな そんな場面

 

何度か観て そういう意味だったのかと 

気づくこともあります。

 

是非是非 しっかりじっくり 味わってほしい

そんなお芝居でございます。


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