そんな所へ 越前屋から 母親おみちと 佐太郎が出てきました。
嫁姑の初対面。
おみちからしたら
越前屋の店主を捨ててまで 一緒に暮らしたいと
定次郎が 望んだ 元芸者の女
定次郎を勘当した今 その女に 定次郎を託すしかない。
そんな おみちが 初めて おはんにあいました。
はじめまして おはんと申します。
そう挨拶されて 少し 間が開きます
客は おみちが どんなこと言い出すのだろう
と ハラハラさせる その「間」。
そのあと
「初めておめにかかります。定次郎の母でございます
おはんさん。その定次郎当家から勘当された身、もううちには何の係わり合いも無い男。
これから先はいついつまでも、幸せにお暮らしなさいよ」
「お母様のほうこそ。お祈りいたします。」
「こちらこそ
定次郎、 勘当したといってもあたし達は親子だ。
会いたくなったらいつでも
帰って来るんだよ」
「その言葉だけありがたくもらっとくよ」
「このお金は、手切れ金なんかじゃないよ。
二人の門出の祝い金だ。受け取ってくれ」
どうしようと 定次郎のほうを見る おはん
「もらえるものはもらっとけ」
受け取る おはん
じゃあ 行こうか
「おはん」
「ん? 」
「やっと・・・
俺たち この釣忍 みてえだな」
俺達の生活も 一度 終わるとおもったけど
また 新しい芽をだした釣忍のように
また 新しい気持ちで はじめような
■
「釣忍」という お話
このように 登場する 店名 地名 人名にも
それぞれ深い意味が こめられてあります。
表面上 てきとーに見ていると
聞き逃して 見逃してしまいそうな そんな場面
何度か観て そういう意味だったのかと
気づくこともあります。
是非是非 しっかりじっくり 味わってほしい
そんなお芝居でございます。