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Channel: 桃象の観劇書付
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劇団都 9月19日 「釣り忍」④

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日本橋通り三丁目の 越前屋

 

店主 佐太郎が 訪ねてきました

 

 

あら 佐太郎さん ご無沙汰しています。

 

お久しぶりでございます。

 

原作では 

おはんは 定次郎が 越前屋のセガレであることを

聞かされておらず   赤羽橋の魚屋のセガレと聞かされていて

佐太郎が訪ねてきて 話を聞いて はじめて 

ビッグな越前屋の息子であることを おはんは知ります。

 

いわゆる大衆演劇バージョンの芝居の場合

おはんは 定次郎が越前屋の息子であることを聞かされていて

二年前  すったもんだがあったのでしょう

佐太郎と おはんは その時 会っているという設定です。 

 

 

今日は 大切な話があって やってきました。

 

どうしたんですか?

 

おはんさん 兄さんと別れてください

 

藪から棒に どうしたんですか

そんなこと はいと言えるわけないじゃないですか。

 

深刻そうな 佐太郎の様子を見て おはんが続ける。

 

定さんの気性を 佐太郎さんもご存じでしょ

あるの人が そんなこと 納得すると思います?

 

 

 

実は 親族会議で 兄さんを 

越前屋の戸主にすることに 決まりました。

 

 

江戸時代 日本橋に店を構えていた 

呉服太物問屋の  越後屋さん。

のちに 「三越」と名前を変え 百貨店の前身です

 

「釣忍」のお話しでは 呉服太物問屋「越前屋」と

名前を変えていますが あきらかに 「越後屋」のこと。

 

 

したがって ここでいう 親族とは 「三井グループ」  

 

両替商(三井両替店・現在の三井住友銀行の源流)も

やっている 親族達の 決定に 

佐太郎さんも 従わざるを得ない状況です。

 

その 親族の意向にそむけば  

越前屋は 資金繰りに 困ることになり 倒産の危機

 

江戸日本橋の本店は もとより 大阪の店 京都の店

あわせて 従業員 1300人を 路頭に迷わせることに

なりかねない 重大な問題なんです。

 

 

そんな背景を 持っての 佐太郎さん

 

自分の一命に 変えてでも

定次郎を 越前屋に戻さなければなりません

 

兄さんには 兄さんの言い分もあるだろう

重々わかっている

 

おはんさんに こんなこと言い出したくもない

 

でも 越前屋で働く  1300i人の店の者も

まもらなきゃならない 

 

 

 

そんな 覚悟に おはんさんも 

 

定次郎を 店に戻すことに同意します。

 

元芸者の おはん あんな大きな店に 入るわけにもいかない

定次郎が 越前屋に戻すという事は 別れるという事

 

でも 定さんの 「倖せ」 

越前屋の 定さんのお母さんのことを 考えると

定さんは やっぱり 店に戻ったほうがいい

 

おはんは 苦渋の決断をします

 

 

おはんさん ありがとうございます

 


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