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Channel: 桃象の観劇書付
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【用語解説】揚屋(あげや)と 置屋(おきや) 

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梅川忠兵衛 の お話を 

 

ネットで検索しても

混乱して理解できてない人が多いのが

 

揚屋と置屋の問題。

 

 

「飛脚問屋亀屋の養子である忠兵衛は、

 井筒屋抱えの遊女梅川と深い仲」

 

等と書いている  記事もあったりします。

 

封印切りの場面  井筒屋 で おこなわれますが

井筒屋は 揚屋であり  遊女を抱えてるわけではありません

 

遊女を抱えているのは 置屋つちやで ございます。

  



槌屋平三郎さんのところは 「置屋」で 
現代で言うと 女郎衆の タレント事務所のようなところ

実は 大坂 新町には 「つちや」という 置屋が実在したらしく
そこを お芝居でも そこをベースにしてあるそうな

その 置屋 というのは  タレント事務所だけをやって
いたのかというと そういう店もあったようですが、
大坂 新町の「つちや」 は 茶屋の 機能もあったそうです。

つまり 女郎さんと いいことしたい男性は 
「つちや」へ 行き そこにいる 女郎さんを物色して
この女郎さんと遊びたい などと交渉して 

その二階の個室で あーたらこーたら。

こういう流れでございます


ただし これは 下層の女郎の話

それが 置屋 兼 茶屋 でございます。



上層の女郎さん いわゆる 太夫とか 花魁と 

言われる人の場合は 

そんなに 単純な 話では ございません。

お客さんは 揚屋 というお店に 足を運び 
女郎さんは 置屋から 派遣されてきます。

お座敷で  宴会をしたり 
あるいは   店のはなれ などで 密会したりするわけですね



さて  梅川忠兵衛 の 場合、、封印切りの場面、
「井筒屋」 という 揚屋さんでございます。



忠兵衛さん 最初の 梅川との 出会いは 
「つちや」の 門前です。

そのあと 「つちや」の中へ入っていって 梅川と遊びたい
と言い出して、、
でも 梅川には  客の先約があった。
が  梅川の 希望により 忠兵衛と奥へ入った。

という 流れです。

その後も  忠兵衛は 「つちや」へ 通い詰めるわけです

では

封印切りの場面は
なぜ  置屋「つちや」 ではなく 揚屋「井筒屋」 なのか



お芝居を 普通に見ていても その 理由は謎のままです

そこで 解説しましょう

忠兵衛は 梅川の身請話に 気が気ではない
このままでは 田舎のお大尽に 梅川は 身請けされてしまう。

梅川は 梅川で 忠兵衛と 夫婦になりたいと思っているので
気が気ではない、、

そんな 梅川の様子をみて 手助けをするのが
揚屋「井筒屋」の 女将 おゑんさん。

身請け話ですから 本来は 置屋「つちや」での 
交渉なんですが
 

そのまえに まずは 梅川と 忠兵衛の あわせてあげて
互いの気持ちを 確認したほうがいいと 
忠兵衛を 「井筒屋」へ呼び、
梅川との密会を お膳立てしてあげるんですね 

その密会場所へ 梅川を探しにきた 槌屋のご主人
さらには 田舎の お大尽の代理の 丹波屋八右衛門
も やってきた。

それで・・・・という 場面なのでございます

ちなみに 「井筒屋」というのも 実在した 揚屋なんだそうです


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