これでもかというほど 「釣り忍」については
語ってきている 桃象ではありますが、
いまだ 一度も 語ったことのない問題が まだ ございます。
それが 時刻問題。
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山本周五郎原作の 「釣忍」
舞台やドラマ化されたものを 観ても 時代劇のイメージが
強いのですが、原作は 明治時代のお話しなんです
桃象が だいぶ前にみた 春陽座の「つり忍」では
明治元年設定にしてありました。
橘小龍丸劇団では ザンギリ頭で行っている つまり 明治設定
で行っていると言う話を 聞いたことがございます。
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原作のどこを 読んでも 時代を書いた部分はありません。
それが なぜ 江戸時代ではないとわかるのかというと
佐太郎が 定次郎に 越前屋に帰れと説得の場面。
定次郎 「帰るとしたら いつだ」
佐太郎 「明日の夕方 6時に親戚が集まることになっている」
と
「6時」という記載があります。
これは 「むつどき」と読まずに 「ろくじ」 だろうと思うのですね。
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1872年(明治5年)12月3日(太陽暦では明治6年1月1日にあたる)に
国の暦が太陰太陽暦から太陽暦に変わり、
その一環として現在と同じ定時法の時刻制度が定められました。
つまり 明治6年から 現代と同じような
時刻の数え方をするようになったんです
「6時」
すなわち 原作では このお話は 明治6年以降の
お話しであるということなんですよ
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劇団都の オリジナルバージョンの「釣り忍」では
この部分 「6時」 を 「むつどき」と 読む形にして
時代劇設定にして 行っています。