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Channel: 桃象の観劇書付
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【用語解説】巾着切(きんちゃくきり)

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スリ(=相手の所有している財布<金目のもの>を、

すれ違いざまに抜き取る・財布内の金品を

抜き取る手口の泥棒)の別称。

 

江戸時代頃は巾着型(=袋の入口部分に通した

紐で開閉の調節した、布や革製の袋)の財布が主流だったので、

スリは巾着の袋を切って、

中身の金銭や貴重品を盗んでいたことから由来している。

 

 

江戸後期 海保青陵という人が 金沢藩士のために書いた

江戸生活のマニュアル本『東贐』(あずまのはなむけ) 

この中で、青陵は江戸で用心しなければならない者として

巾着切を挙げて

 

「江戸中ニハ万ヲ以テ数ヘルホドアル也」

「巾着切ハ仲間アリテ 何カ其党ノ礼法モ極リテ居ルモノ也」

 

と 書かれてあるらしい

 

巾着切は、両国・浅草・上野・湯島・芝神明などに多く、

その数は江戸全体では一万人以上だ

人数が多いだけではない。

彼らには同業組合のようなものがあって、

作法や掟が定められている

 

巾着切の数はとても多く、町奉行所の警察力では

一網打尽など到底無理。

かりに町奉行が〝巾着切狩り〟を実行したとしても、

すくなく見積もっても

数千人に達する彼らを収容するだけの牢獄はない。

そんな事情もあって、

巾着切のような小盗人は、たとえ捕らえても、

盗んだ金品を吐き出させて追放するのが

慣習になっていたそうだ。

 

一方、巾着切には「党」(組織)があり、

党の規約が定められ、

おそらく複数の親分によって統制されていたと言います

 

 

お芝居 浅草三兄弟 は そんな  「巾着切」の兄弟分三人のお話。

 

一番上の リーダーの兄さんは 「立花金五郎」という名前で・・

十手を持って 同心の恰好をして 登場します。

 

そのため  このお芝居の時に 

「この人 スリだよねぇ 目明しの恰好していて変だよね」

などと  しゃべる やかましい おばさんが しばしば 登場します。

 

立花金五郎さん 同心の恰好をしているのは カモフラージュで

仲間が スリだとばれたときに 十手を持って現れ  

スリを つかまえて 引っ立てる形で 実は救う そんな ことをします。

 

それ以外にも 変装しているから スリもしやすかったのかもしれません。


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