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Channel: 桃象の観劇書付
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7/10昼 長谷川劇団 「お亀の恋」①

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□ 「近松心中物語より お亀の恋」

 

傘屋 お亀     京詩音

傘屋 与兵衛    長谷川愁

 

傘屋 お今     愛京花

傘屋 長兵衛    長谷川乱之助
傘屋 丁稚 長松  大河

 

亀屋 忠兵衛    長谷川一馬  

 

槌屋 傾城 梅川    京未来

槌屋 傾城 白菊    長谷川一馬

 

槌屋 女将 おゑん 長谷川桜

幇間    勘八  藤乃かな

 

役人        長谷川武弥

捕方        長谷川孝ノ助

 

 

新町新地内 詳細地図

 

■ 大坂 新町(佐渡屋町)   槌屋前

 

大坂の新町は 一夜の悦楽を追い求める男たちが集まる廓街

 

小道具商傘屋の婿養子・与兵衛が、

折り合いの悪い姑お今に追い出され、槌屋に身を沈めていた。

もともと気弱で、うだつのあがらない亭主だが、

女房のお亀に とっては、所帯をもってもなお、

恋い焦がれる相手。

行方知らずのダメ亭主を案じ悲しむ娘をみかねて、

姑お今が自ら与兵衛を連れ戻しに新町にやってくる。


「二度とこの男を廓に近づけないでくれ」と

周囲に念押ししながら、連れ戻される与兵衛。

 

■ 傘屋

 

傘屋の中では お亀が 与兵衛に嫉妬して 

夫婦喧嘩 

あんたの胸の中には 白菊はんが いてなさるんや

 

そんなことないで お亀もいるで

 

ええ? あんたの胸の中に わてと白菊はん

同居してんるんや  そんなん嫌や 嫌や

 

と もめてるところへ 

母親 お今と丁稚長松が戻ってきた

 

長松が 新町からの手紙を受け取ったという

それは 白菊からのものだった

 

その手紙 ここで読んで聞かせてくれまへんか

お今が 与兵衛を 責め立てる

 

恋しい恋しい旨書かれた 白菊からの手紙を

しぶしぶ 読む与兵衛

 

お亀が 母親お今に そんなに責め立てんといて

女房べったりの男やのうて 

遊女にこんな手紙書かせる男のほうが

誇りに思うわ・・と。

 

わーわーと 大騒ぎ

 

このまま 離縁となって 

この店を出ていかなければならないと確信する与兵衛

 

そんな ところへ 忠兵衛がやってきた

 

与兵衛・・与兵衛・・ わし・・・

 

忠兵衛か、おぬし 久しい会わんかったけど 

わしのこと覚えてってくれたんか

 

もちろんじゃないか

 

久しぶりに訪ねて来た忠兵衛だった。

 

幼馴染のよしみや 金貸してくれ 

 

なんや 忠兵衛、たかが金を貸してくれと言うのに 

そんなかたっくるしいものの言い方せんでええやろ

忠兵衛 お前と俺とは同じ在所の仲間やないか

 

実はな 言いにくい話やけど 

俺が惚れたオナゴというのは 売りもの買いものや

お互いに惹かれおうて 抱き寝を共にしているうちに  

このオナゴのためやったら 命を捧げてもかまへんと

思えるほどのオナゴに 初めて出会た 

せやけど 売りもの買いものの悲しさ  

わし一人が客やない 客はぎょうさんおる

惚れたオナゴが どこぞの田舎大尽に買われる 

そないなこと 身をさかれるような思いがする

できることなら 手放しとうない

このとおりや 金貸してくれ

 

そうか ようわかった 

早い事手付け打って 

その田舎大尽の鼻あかしてやれ

なんぼいるんや?

 

言いにくいんやけど 50両や

 

50両か 50両なぁ・・・ 忠兵衛・・・・ある


与兵衛は 一瞬 躊躇するが 

どうせ この店を追い出される身

金庫の鍵を壊して開けて

50両の金を出すと 忠兵衛に手渡した

大丈夫なんか

平気や 気にするな

そかそれならええけど・・・。

その金持って 早よう行け 

早い事手付け打って 

その田舎大尽の鼻あかしてやれ

おおきにおおきに・・

忠兵衛は 一目散に駆け出して行った


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