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Channel: 桃象の観劇書付
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【用語解説】柏 (かしわ)

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「あの木は、葉が枯れてるのに落葉しないんですか?」「ああ、あれは柏ですよ。
 5月の節句にかしわ餅を食べるでしょう。 
 あの時使うのが、あの葉っぱ。」 「ははぁ!」 「“冬柏”といってね俳句の季語にもなってるくらいで
   枯れても落ちないんですよ。 
  ふつうの落葉樹は初冬には ちってしまう。
  ところが柏の葉だけは枯れたまま冬を越し 
  春がきて芽がふくらみかけると、はじめて落ちる。 まるで、次の世代へ引き継がれたのを
  確かめたかのようにちっていくんですよ。」
 マンガ「エースをねらえ!」の中で
 主人公 岡ひろみのコーチ
 宗方コーチが亡くなった後
 ひろみを はげます為に来ていた 仲間に
 造園業の ひろみの父 が 語る場面があります。
 それを聞いて 仲間たちは 
 ひろみの成長を見届けるように逝ってしまった
 コーチのことを思い出します。
漫画「エースをねらえ!」単行本では 全18巻。
そのうち 1巻から10巻 部分が 前半
11巻から18巻が 後半 と 明確に分類できます。
というのは 10巻までの部分で 
作者病気のため為 いちど中断していて
11巻からの部分で 突然 桂大吾という 
永平寺で修業した僧侶のキャラが
登場して 作品の傾向が 一気に変わり
「人の死」「生きざま」「人としてのやさしさ」
が 思い切り クローズアップされていきます。
自分の身体の尽きることを覚悟した 
宗方コーチが 
友人の桂大吾に 愛弟子 岡ひろみを
託します
それを 引き受けた 桂大吾
宗方コーチが生きてる時から
友人の死を いかに有効に利用して
岡ひろみを 大きく成長させようかと
悩み 苦しみ 模索します
そんな 姿が 11巻に描かれています
 漫画 というと どうしても 
「低俗的なもの」という 偏見が強いのですが
そんなことはない  
いろいろ学ばせてもらえる 文学作品だ
と 言えるだけの 素晴らしい作品のひとつでしょう
「エースをねらえ!」の
「週刊マーガレット」連載開始は1973(昭和48)年
才能を見いだされた高校生の岡ひろみの成長とともに
作品全体には世界に通用する、
日本勢プレーヤーを育成するという願いが描かれている
物語の結末は 岡が世界に向けて旅立つ場面で終わっており、
漫画とはいえ、さすがに世界の名選手を相手に勝利を重ねる
場面は描きにくかったのかもしれぬ。
それが当時の日本勢の実力だった
漫画から46年後、
大坂なおみが全豪オープンで優勝を果たし、
世界ランク一位に上り詰めた。
漫画でさえ、描くことをためらわれた
日本勢による世界一。
それを大坂が自らのラケットで描いてみせた。

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