こんな時に なんなんですが どうぞ手紙を・・
長屋の面々に促されて
叔父 菅野六郎左衛門からの 手紙を読む 安兵衛
前略
書面を持って申し上げ候
本日 其処元に会いたき仔細是あり候て
参りしなれど
其処元 不在し候故 一筆申し上げ候
もういい と 読むのをやるようとする
そう言わずに・・・
さて 其処元 喧嘩安兵衛 赤鞘安兵衛と呼ばれしに
叔父の身として はなはだ 悲しく存じ上げ候
この 二本身の恥と存じて候に 己の身を振り返り
お慎み下さりたく ひとえに願いあげも候
血気の年頃なれば 呑むは良し
なれど くれぐれも身体に気をつけ
暴飲のあげく その身に 万一の事候あり候せつは
其処元ひとりを頼りにし
孤独の身を生きながらえし叔父の寂しさを
ご推量下されたく候
さて それがし
過日 恒例の御前試合にて 村上庄左エ門を打ち破り
殿より お褒めの言葉を 頂戴つかまつり候
この上なき 身の誉と存じ候
なれど その一定により
村上が憎しみ買い候て 昨夜 深更
村上の使者参り候て 果たし状 受領つかまつり
本日の 犬の下刻 高田馬場にて
真剣 勝負のこと 承服つかまつり候
相手は 村上庄左エ門のことなれば
中津川以下道場の弟子どもを
助太刀を頼むことこれありと存じ候
しかれるに さよう この身にありと言えども
手前には 清一定を重くして
我が身一身をもって 打ち向かうい存じ候
安兵衛 たてーーーー
聞いていた 小野寺 と 長屋の面々
叔父の ピンチに 安兵衛は・・・
ところが 安兵衛 よく眠れるようにと飲んだ薬で
身体がしびれている
長屋の面々 安兵衛の身体を さかさまにして
くすりを吐き出させるなど てんやわんや
安兵衛 支度を整えて 高田馬場まで
助太刀に
長屋の面々も 後を追う